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2014年8月1日金曜日

ライン川の向かう岸から

ライン川の向かう岸からワルツが聞こえる。コントラバスの唸り聲は途切れ途切れに、ヴァイオリンの響きはくぐもり、フルートは潑溂と鳴り渡る。これは『アーシャ』の一場面である。
 その風土から自然と聞こえてくる音樂があるやうだ。鳥が囀りを、木が葉擦れを、水がせせらぎを持つてゐるやうに、人は言葉(聲)と樂器とを持つてゐる。ライン川の向かう岸からワルツが聞こえてくるのは、長江の兩岸から猿の聲が聞こえてくるのと同じことなのかもしれない。
 では我が日本の山川からはいかなる音樂が聞こえてくるのだらうか。笙や篳篥だらうか、或は箏や三味線だらうか。どうもわたくしには、人の歌聲が聞こえてくる氣がする。
 このやうな事をぼんやり考へながら友人の演舞を觀てゐたのであつた。  1 августа 2014г.

 
(三村一貴)


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